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スタッフブログ

2025年05月12日

引き振袖と打掛の違いは?着物のプロが選び方まで分かりやすく解説

いつもスタッフブログをご覧頂きありがとうございます
本日は引き振袖について、打掛や成人式の振袖の違い、魅力などをご紹介します。

引き振袖とは

引き振袖は未婚女性の正装とされる振袖の一種で、引きずるほどの長い裾が特徴です。このため裾を引いて着用します。

エレガントで洗練されたデザインの引き振袖は、結婚式において、花嫁様の現代的な美しさと日本の伝統的な魅力を同時に表現することができます。白無垢や色打掛と並んで高い人気を誇る衣装です。特に披露宴で着用する衣装として選ばれる花嫁様が多くいらっしゃいます。

引き振袖の歴史

元々、引き振袖は戦国時代から江戸時代にかけての武家社会において、未婚の女性や新婚の花嫁が主に着用する衣装として広まっていました。当時、色打掛が武家の厳格さを示す婚礼衣装という役割を担っていたのに対して、引き振袖は個人の好みやセンスを前面に出した衣装として愛されていたのです。

戦後の時代になり和装のデザインが多様化していくと、引き振袖は西洋風の披露宴やモダンな結婚式にマッチするシンプルで洗練されたデザインへと変化しました。また長い裾を残しつつ、軽やかさや動きやすさも取り入れられていきます。

こうして伝統的でありながら現代的な色使いやデザインを取り入れた今の引き振袖となったのです。

昭和の引き振袖は「黒」が一般的だった

朝ドラ「マッサン」にて、相武紗季さんが着用する京鐘提供黒引振の画像
※NHK連続テレビ小説「マッサン」黒引振 京鐘提供

時代と共に変遷を遂げてきた引き振袖ですが、実は鮮やかな色合いの衣装が結婚式で着用されるようになったのは平成に入ってからのこと。昭和の頃は黒い生地を用いた「黒引き振袖」が一般的な花嫁衣装でした。

昭和初期の頃は今のように衣装をレンタルして着用する仕組みが整っておらず、当時の花嫁様はご自身で黒引き振袖を作り、結婚式後には黒留袖に仕立て直して着用していたのです。なお、当時の黒引き振袖は現代よりも裾が短く、厳密には「本振袖」と呼ばれていました。

昭和30年頃になると、白無垢や色打掛のレンタルサービスが始まります。これにより挙式で白無垢や色打掛を選ぶ新婦様が増え、黒引き振袖はお色直しで着用するスタイルが一般的になっていきます。

ところが昭和50年頃になると黒引き袖が再び注目を浴びるように。昭和初期の本振袖に比べて裾が長くなり、第一礼装として白無垢や色打掛に負けない魅力的な花嫁衣装となりました。そして平成10年頃になると、黒だけではなく赤や青など、さまざまな色の引き振袖が登場しはじめるのです。

黒は白無垢の白や色打掛の赤と並ぶ結婚式の定番カラー。加えてもっとも格調が高い色とされており、上品なイメージを与えます。衣装のレンタルサービスが広まった現代は鮮やかな色の引き振袖を選ぶ花嫁様が増えましたが、大人っぽい魅力を持つ黒引き振袖も今なお愛されています。

引き振袖と打掛の違い

引振袖と色打掛の比較画像

結婚式で着用する和装にはさまざまな種類があります。中でも打掛は引き振袖に見た目や雰囲気が似ていますが、どのような違いがあるのでしょうか?以下でご紹介します。

デザインと色

見た目や雰囲気が似ている引き振袖と打掛ですが、よく見てみるとデザインと色が違います。

打掛は赤や金をはじめとした鮮やかな色彩を用いて、複雑な文様が施されています。とても豪華で華やかなデザインです。そんな打掛と比較して、引き振袖は装飾が控えめでシンプルであり、落ち着いた色合いの洗練されたデザインとなっています。

また、打掛は和装ならではのトレードマークである帯が完全に隠れるデザインであるのに対して、引き振袖は帯が見えるデザインという違いもあります。

成人式の振袖との違い

引き振袖と振袖の比較画像

打掛の他には成人式に着用する振袖も、引き振袖によく似ています。続いては振袖と引き振袖の違いもご紹介していきます。

裾が長い

裾の拡大画像

振袖は袖や裾の長さによって「小振袖」「中振袖」「大振袖」と3種類に分けられており、一般的に結婚式の振袖には大振袖、成人式の振袖には中振袖(※)が用いられます。

※大振袖の場合もあります。

また成人式の振袖は「お端折り(おはしょり)」をして着用時に裾をたくし上げますが、引き振袖はおはしょりをせず、裾を引いて着用します。

これらの理由により成人式の振袖よりも結婚式に着用する引き振袖の方が、裾が長いという違いがあります。

丸帯が使われる

背後から見た丸帯の画像

引き振袖に使われる帯は江戸時代中期から礼装に用いられてきた格式高い「丸帯」です。表裏が同じデザインの生地を縦二つ折りにし、筒状に縫い合わせることで袋状に仕上げたもので華やかな見た目をしています。

成人式に使われる帯は、表地と裏地を別々に織り上げた「袋帯」です。丸帯よりも結びやすく、軽くて動きやすいのが特徴です。

引き振袖の魅力

引き振袖と打掛、そして成人式の振袖との違いについて、少しは理解を深めていただけたでしょうか?

ここからは引き振袖ならではの魅力をもっと詳しくお伝えしていきたいと思います。

裾の長さがたおやかな印象を与える

引き振袖といえば、一番の特徴はやはり裾の長さです。会場によりますが、裾を引きずって歩く姿はたおやかで可愛らしい印象を与え、これが何よりの魅力と言えるでしょう。より女性らしさを求める新婦様におすすめの衣装です。

「ふき」の色がアクセントになりオシャレ

引き振袖の裾には、裏地を表に折り返した「ふき」と呼ばれる部分があります。ふきは本来、表地が汚れたり傷んだりすることを防ぐ役割を持ちますが、デザインの面でもアクセントになってオシャレという良さがあります。花嫁様の後ろ姿を美しく見せることができます。

打掛よりも動きやすい

同じ花嫁衣装の打掛に比べても軽くて活動しやすいことから疲れにくく、入退場をしたり、ゲストと交流したりしやすいという特徴があります。

帯が華やか

引き振袖は帯を見せるデザインの花嫁衣装なので、着用することで着物自体の美しさはもちろん、帯の華やかさも楽しむことができます。後ろ姿がキレイに見えて、ゲストの目を楽しませられるのも魅力です。

結婚式は引き振袖と打掛のどちらを選ぶ?

引き振袖と打掛。異なる魅力を持つ花嫁衣装のどちらを結婚式で選ぶか、悩まれる花嫁様は多くいらっしゃいます。ここでは引き振袖と打掛で迷った時の選び方をご紹介します。

色で選ぶ

引き振袖、打掛とも今ではさまざまな色が展開されていますが、引き振袖は黒、打掛は赤の色が多く取り扱われている傾向にあります。

取り扱っている色の豊富さは店舗によっても左右されますが、すでに身につけたい色が決まっている場合、黒ならば引き振袖、赤ならば打掛にすると、より楽しく衣装選びができるかもしれません。

動きやすさで選ぶ

裾が長い引き振袖は一見すると動きにくそうに見えますが、実は打掛よりも軽く動きやすいので、「結婚式で疲れてしまいそう…」と心配な花嫁様におすすめです。

デザインで選ぶ

「引き振袖の魅力」でご紹介した通り、引き振袖は帯を見せるデザインの花嫁衣装です。一方で打掛は帯の上から羽織れるため、帯が隠れてしまいます。

その代わりに背中に描かれた柄がキレイに見えるデザインになっているので、帯・小物のコーディネイトを見せたい方は引き振袖、着物の柄を見せたい方は打掛を選ぶのがおすすめです。

写真映りで選ぶ

柔らかな生地でできている引き振袖は、身体の線が出やすく美しい形状を保ちやすいので、前撮りや記念撮影はもちろん、動画にもキレイに映ります。

いかがでしたか?今回は引き振袖について、打掛や成人式の振袖の違い、魅力などをご紹介しました。

引き振袖は、打掛とは異なる魅力を持っています。現代的な色使いやデザインを取り入れており、披露宴はもちろんモダンな結婚式にもマッチする花嫁衣装です。花嫁様ご自身の好みや結婚式の雰囲気に合わせて検討してみてはいかがでしょうか?

弊社では和婚式相談会をはじめとしたブライダルイベントを開催しています。和婚式や衣装に関して気になる点・不安な点などございましたらお気軽にご相談ください。